OrganincLlife
オーガニックの始まりはドイツから
みなさま、こんにちは。
森Wenzel明華(もり ウェンツエルさやか)です。
本場ドイツからオーガニックなライフスタイルをご紹介します。
わたしは10年前に神戸から、ドイツに引っ越してきました。
ラッキーなことに、最初は絶望からはじまったドイツ暮らしですが、今は住めば都で、ご近所にはオーガニック農場があります。なので、オーガニックはすごく身近な存在なのです。
日本でも最近は、どんどんと取り入れられてきているオーガニックですが、そのはじまりは、実はドイツなのです。
1900年代、イギリスの産業革命からはじまった近代の初頭、その頃は、機械化などが進み、どんどんと利益重視、効率重視の製法・思考へと社会が変わっていった時代でした。
そこに警鐘を鳴らしたのが独自の教育で知られる人智学者・シュタイナーだったのです。
オーガニックにはさまざまな分野があります。とくに農業はわたしたち人間の身体に直接的、物理的に関係してきます。それは、食べ物で、わたしたちの体はできているからです。
人類と大地、地球と宇宙のつながりが農業にあるとシュタイナーは説き、自ら実践しました。天体や地球の動き、植物のもつ神秘性を考えたのがバイオダイナミック農法です。
肥料作りも独特で、動物の角に糞やさまざまなハーブを詰め込んで、地面に埋めることで全宇宙のエネルギーが秘められる。。。みたいな、かなり不思議な部分もあるんですが・・・
その製法で作られたオーガニック野菜や製品はDemeter というマークがついています。
こちらは現代でも、数あるオーガニックの認証の中でも最も厳しい認証のひとつです。正直言って、値段も少し高め。
わたし自身も、友人たちと共同でDemeterの畑を借りてアドバイスをいただきながら農業をしたりdemeter 認証をとっている農家や生産者を見学させていただりして、感じたのは、ポリシーを持って農業に取り組まれているということです。
そこに一切の妥協やごまかしはありませんでした。
思考から、生き方まで、本物なのです。
オーガニックは適正価格
ドイツに暮らし始めた時、オーガニック製品は高い・・・と思ったわたしでしたが、それもオーガニックのあり方を理解したときには「値段」についても理解できました。
農薬や除草剤を使わず、フードマイル(その物自体にかかる輸送費や)にも考慮しつつ、地球のために良いのか?
未来のこどもたちの地球が守られるのか?そういった姿勢が根底にあるのです。
日本は資本主義がいきすぎてしまっていて、どうしても「儲かるのか?」「採算取れるのか?」が先にきますよね。
経済的なことも大切ですが、完全に大切な視点を見失ってしまっているように感じます。
最近の市場調査によると、ドイツでは平均して約33%のひとがオーガニック商品を購入しています。これは3人にひとりはオーガニックを選択しているということ。
地域性はあるのですが、一番高いのがミュンヘン周辺で47%!これは約半数ですよね。
お金を持っている裕福な州であり、そして自然療法が盛んでもあるアルプスの麓でもあることが関係していると思います。意識高い系・・・ということですね。
オーガニック製品は前述したように、普通のスーパーのものより値段は高め。従来は17%ほど一般商品より高め・・・だったのですが
最近は、ウクライナ・ロシア戦争などの影響で、一般的な物価が値上がりしたために最近ではあまり変わらないくらいになってきました。10%くらいの差でしょうか?
そう考えると、今までいかに不自然なことをしていたのか、ということに愕然としました。
遠く遠くから安い飼料を運んできたり、安い材料で作っていたりしたということです。それが値上がりした・・・・ってことですから。
オーガニックが選ばれる理由
ドイツでオーガニックが選ばれている大きな理由はふたつあります。
「自然を守る」と「動物福祉」です。
「わたしの幸せ、健康」という個人的な願いだけではなく、
「地球の健康・幸せ」「動物たちの幸せ」
を願っているというのがドイツ的だと感じます。
なかでもオーガニック製品で、最も購入されているのは卵 (61%) と野菜と果物 (55%) です。
オーガニックの卵と認められるのは、育て方だけでなく、半径 102 キロメートルの距離以下から運ばれてきているものだけです。
デュッセルドルフとケルン周辺、わたしたち家族の暮らしている地域は特に厳しく、半径約 80 キロメートル以内。まさに!「地産地消」ということです。(卵は。。。)
ご近所にもオーガニック農場がありますが、農場主のかたにお話しを伺うと、「地元で作って、地元で消費されること」が大切だともう出会った頃、10年前からはなしておられました。
その時はまだオーガニック=特別という感覚しかなかったので、わたしは(???)という感覚だったのも覚えています。そう考えると、日本でもどんどん浸透してきてますよね。
ただ、ドイツではオーガニックへの関心が高まっているのですが、一方で問題もでてきています。2022年の時点で、オーガニック供給できる畑の面積がまだ10%しかないということです。
なのでドイツのオーガニックは輸入に頼らざるえない状況なんです。
これは原発もおなじ。
原発止めたはいいけど、結局ロシアからガス買ってますから・・・
現実は厳しいけれど、ドイツではさまざまな取り組みや工夫もされているので、希望の光は見えている。。。そんな感じです。
さて、わたしたちは毎日の暮らしの中で、どんな取り組みができるでしょうか?
「買い物は投票」という絵本がありますが、オーガニック製品をなるべく、無理のない範囲でえらんでいくこと。たまにはオーガニックにしてみる。。。みたいなところから始めればいいと思います。
消費者がいるから、生産者、製造者はなりたつわけです。わたしたち消費者が、求めれば、企業は変えざるをえないのです。そしてやがてそれは政治も動かしていくでしょう。
投票するのは、わたしたち自身だから。
「リクエストすること」
お客様センターや企業のホームページのお客様の声に、自分の意見を書くこと、伝えることも、わたしたちができることです。
「自分で作ること」
家庭菜園をしたり、シェア畑にとりくんだり。養蜂や鶏をかってみたり。そのためには「教育」も大切ですよね。わたしは自然療法をお伝えする仕事をしていますが、本当に「教育」こそが要だと感じます。
薬を飲むのが当たり前・・・から、ちょっと待って!おうちでケアできる方法があるよ!というところから、はじまります。
こどもたちとともに、野菜を作ったり、地球のことについて話したり・・・そんな時間を共に過ごす。それがご家庭でできるオーガニックな教育です。
小さなステップは、やがて大きなムーヴメントに変わっていくでしょう。
さぁ、わたしも今年はなにを家庭菜園に植えようかな。。。小さな畑?があるので、それも春を待つ楽しみのひとつです。
次回はオーガニック農場や実際の暮らしの中のオーガニックをお伝えいたしますね。
さぁ、ともに小さなところから、暮らしの中から、はじめてみませんか?
この記事は特集
「OrganicLife.」に含まれています。
OrganicLife.
オーガニックは食材だけではなく、私たちの生活すべてに関係しています。衣食住から始まり、この地球や宇宙に至るまで、たくさんのオーガニックを知ることで、私たちの社会も変わっていきます。今回の特集では、オーガニックの実践者からそのエッセンスを学んでいきます。新しい世界を知るための旅をお楽しみください。