OrganincLlife
つながり・つながる人と世界
「蜂と神様」という、金子すゞさんの詩があります。
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀(どべい)のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに。
さうして、さうして、神さまは、
小ちやな蜂のなかに。
オイリュトミ―(注)の時間に、私はこの詩を小学生とよく動きます。3,4年生くらいの子どもたちの心にぴったりなのです。
動きながら、私は、子どもたちに語ります―。
…蜂は見れるね、花も見れるし香りを嗅げるし、さわれる…お庭は…人が作るもの。塀もそう。どちらも目で見て、触れる。家が集まって町になり、町がもっと集まって国が出来て、国が集まると世界に。町全体、国全体、世界全体を見ることも触ることもできないかもしれないけれど、想像すること・考えることはできるね…
では神様は?「みえない。」「でもいるよ。」「夢の中でみた!」―子どもたちの声が上がります。
さうして、さうして、神さまは、小ちゃな蜂のなかに。
おしまいの一行に来ると、子どもたちはふうっと息をつきます。すんなり受けとめることもあれば、「えーっ」と意外そうに、くすぐったそうに笑う子たちもいます。
どうして神様が小さい蜂の中にいるの?とたずねられたら、みなさんはどうお答えになりますか?
蜂は花から蜜をもらい、花は蜂に花粉を運んでもらう。そうやって自分のいのちを次に伝えていく。花は土に支えられて土の中に根を張って育つ。枯れた草花は土に戻って、必要な養分になる。草花を育て世話するために、人は庭をつくり自分の家をつくる。家は一軒だけでは生きていけない。他の家と集まって、役割を分けて、町ができ、国になる。世界はそんな集まりで、どんなものも他のものが必要で、支え合って生きている。
そして、とても大きなものも、ちいちゃなちいちゃなものも、命を贈ってくれる「もと」の力とつながってここにあるのよー。
私たちは、地上のすべてのものとともに、生きています。でも、命をつくりだすことはできません。出来るのは、命を伝えること、そしてわかちあうこと。
オーガニック・有機的、という言葉をよく聞くようになりました。それが、今の世界にとって、もう一度思い出さなければならない大切なことだからです。
そもそも、生きているということがオーガニック。
そんな、オーガニックな人と人のつながりのお話しをしていきたいと思います。
*オイリュトミ―: 心と体をつなぎ、人と世界をつなぐ調和の動き。全身の動きで言葉と歌を動きます。R.シュタイナーによって基礎づけられた動きの芸術。
この記事は特集
「OrganicLife.」に含まれています。
OrganicLife.
オーガニックは食材だけではなく、私たちの生活すべてに関係しています。衣食住から始まり、この地球や宇宙に至るまで、たくさんのオーガニックを知ることで、私たちの社会も変わっていきます。今回の特集では、オーガニックの実践者からそのエッセンスを学んでいきます。新しい世界を知るための旅をお楽しみください。